私なりの健康法:四字熟語を造って

塩谷 暢生 83歳(電化1960年卒)

 現役時代、健康には殆ど関心なかった。しかし、引退して年を重ねるにつれ、身体劣化が進み、次のような症状を診断あるいは治療されているので、今は無関心ではいられない。

 身体上部から……白内障手術/緑内障定期検査、突発性難聴、入れ歯、頸椎症、肩痛 、不整脈、高血圧、脂質異常症、腎機能低下、前立腺肥大症/頻尿、メタボ 、股関節痛、変形性膝関節症、下肢静脈瘤、足骨折、痛風(高尿酸)。

 病気のデパートのようだが、幸いにも入院したことはなく、それなりに元気で、里山保全のボランティア活動等をしている。今年も米作りで田起し、田植え、草刈り、稲刈りなどの肉体労働をこなし、車も運転している。高尾山(標高599m)にも毎月登っている。

 これは自己努力というより99%医療と食料(栄養)のおかげと思っている。しかし、不具合がでる度にこれではいけないと自覚して、それなりの健康対策を講じてきたので、1%位は自分の力だろうか。 歩く事を中心にそれら1%の努力を四字熟語にして、健康維持の指針としているので紹介したい。

99% Medication&Nutrition、1% Perspiration

筋脳強使(きんのうごうし):筋肉と脳は使わないと劣化する。どんどん使って強化しよう。
 「勤王攘夷」をもじった。筋肉と脳は使わないと不要と判断されてどんどん劣化し、寝たきりや認知症になるので、できるだけ使おうということ。“ピンピンコロリピンコロリ”で往きたい。“ネンネンコロリネンコロリ”はご免だ。

 筋肉では、まずはウオーキング。当初は1日1万歩を目標としていたが年齢と共に少しずつ減らし、現在は6千歩/日。最も気を付けているのは姿勢で、胸を拡げまっすぐ前を見て歩くということ。数年前、頸椎症を患い、カイロプラクターの治療を受けたとき、主因は猫背やパソコンなどによるストレートネックと診断された。それまでは下を見て歩くことが多かったので気をつけるようにしている。ウオーキングでは歩幅にも注意している。ゴルフをしていた頃は歩幅80cmで歩測していた。だんだん衰え、今は普通に歩くと65~70cmなので、75cmになるよう努力している。 もう一つ運動で毎日実行しているのは朝6.25~35分のテレビ体操。タイツ姿の女性といっしょの運動は楽しみでもある。これは皆さんにぜひお勧めしたい。

 脳の強化法はよく分からない。好奇心を持つということだろうか。読書はだんだん苦痛になってきているが、新聞は二紙購読している。二つのことを同時にすること(dual task)が脳の萎縮防止に効果的というので、ウオーキングしながら高校時代に習った古文の枕草子(春はあけぼの…)、平家物語(祇園精舎の鐘の声…)、方丈記(行く河の流れは…)、徒然草(つれづれなるままに…)、奥の細道(月日は百代の…)や落語の「寿限無」などを口ずさんでいる。ラジオ英会話は口の運動としてやっている。詰将棋と数独(ナンバープレース)はほぼ毎日楽しんでいる。


外用歩行(がいようほこう):毎日家の外に用事を作り、歩いて行って用を足そう。  外に用事を作り、歩いて用足しに行けということ。高齢者が老後を健康・快適に過ごすためには「教養」(今日用)が大切で、教養を磨くためには「教育」(今日行)が必要といわれている。しかし、私はこれでは不十分で、教育の効果を上げるために「教則」(今日足)が欠かせないと思っている。毎日のむ牛乳とヨーグルトの買い物、郵便局への用足し等は自分の足でするようにしている。


歩外不急(ふがいふきゅう):健康のためサッサと歩こう。歩く事の外は、何事も急ぐことはない。
 「不要不急」をもじった。健康維持のためにはブラブラ歩きではなく、なるべくサッサと歩くことが大切だ。しかも、高齢者にとって歩く事以外は何も急ぐ必要はない筈だ。急いで墓場へ行くこともない。

 私は定年後、お金をいただく仕事・活動はしない、日常生活では効率は求めないと決めた。まず、背広、ネクタイ、ワイシャツ、革靴等は慶弔用以外は捨てた。しばらくしてゴルフ道具も会員権も処分した。その代わり、これからの生活の基盤となる地域の友人、知人をたくさん作るのにエネルギーを費やし、保護司や町内会長を務め、自然保護を中心とするボランティア活動に取り組んだ。

 急いで用足しする必要もないので、そのうち自転車を捨てた。1~2km程度の用事は歩けばよい。車は里山のボランティア活動に必要なので使っているが、今は近場だけなので、軽自動車のバンで十分だ。また、夜と雨の日は原則として乗らないので、年間走行距離は2000km程度だ。

最後に
 新型コロナ禍の中、どうしてもTVが多くなるので、見ながらのストレッチやスクワットなどの“ながら運動”を心がけている。タバコは45歳の時に止めた。-OHは、日本酒はお銚子1本、ビールなら1缶、ときどき芋焼酎のお湯割り、これだけは止められない。
 寿命遺伝子テロメアを大切にすれば125歳まであり得るという人生100年時代を迎えた。平均寿命を超えたこの歳になっての最大関心事は“いつまで元気でいられるだろうか”であり、これからも“悲観的に備え、楽観的に過ごしたい”

2020.10.21